芸術の秋に学ぶ こだわりと凡事徹底

2016-10-24
先日勧められて朝倉文夫氏の彫刻作品を見に
日暮里にある朝倉彫塑館に行った。
朝倉彫塑館は朝倉文夫氏のアトリエと住居だった建物で、
東京美術学校を卒業した1907年、
24歳の時に谷中の地にアトリエ兼住居を構えた。
当初は小さなものを、自ら設計し、改築を繰り返し、
細部に至るまで様々な工夫を凝らしており、
こだわりを感じさせる建築だった。
「朝倉彫塑塾」と命名し、教場として広く門戸を
開放して弟子を育成したとのことだ。

朝倉氏(1883年 - 1964年)は明治から昭和の彫刻家であり、
「東洋のロダン」と呼ばれた。
朝倉氏は東京美術学校(現・東京芸術大学)に入学、
モデルを雇う金がないために上野動物園へ通って動物のスケッチをした。
縁あって貿易商の注文をうけ、動物の像を卒業までに1200体以上に作った。
気付けばスキルが向上していて、文展に出展し、自己最高賞である2等となり、
その後も連続上位入賞を果たし、第10回文展においては34歳の若さで
最年少審査員に抜擢され、1958年には日展の顧問に就任した。
非常に多作であり、全国各地に数多くの像を残した。

朝倉氏は動物、中でも身近に多くいた猫をこよなく愛し、
多いときには自宅に15~6匹の猫を飼っていた。
身のこなしや飼われながらも野性味を失わない神秘性などに魅力を感じ、
自らの作品にも幾度も取り上げた。
好きなモノを徹底的にこだわり、何度も何度もベースを磨く。
驚くべきことは、アトリエに、猫の骨の模型が展示されていたことだ。
(もちろん人骨もあった)おそらく、像を作る上で、その内部構造までを把握し、
造形を追求し、まるで生きているかのような「猫」を制作していったのだろう。

また朝倉氏は東洋ランの栽培や活け花、盆栽などに造詣が深く
「東洋蘭の作り方」(1940年)という著書を残している。
当時はまだ珍しかっただろう和洋折衷のモダンな屋上に菜園を作り、
トマトや大根を育てていた。「自然とのリアルなふれあい」を基本概念と考えて
シナジー効果を生んだと思われる。そこには日本では見たこともないほどの
オリーブの大木があり、センスを感じる。

信じたことをやり続け、基本を忠実に守り、探求していく姿勢、
自然へのこだわりが、結果大きな異業へと繋がったことを、
このスピリチュアルな朝倉彫塑館で学ぶことが出来た。

「お客様満足」を追求し、ベースを把握すること、
徹底的にコツコツ取組むこと、基本概念を信じることの重要さを再確認し、
「自分も頑張らなければ」と背中を押してもらった気がした。


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言葉の持つ価値

2016-10-18
ノーベル文学賞をボブ・ディランが受賞した。
文学者でない彼がノーベル文学賞というのは確かに違和感があるが、
ポピュラーミュージックを歌詞の持つ世界観によって
高い地位にまで引き上げた功績が認められた、という事らしい。
楽曲については詳しくないが、
言葉(強いメッセージ)には人を動かす力が宿っている、
という事を再認識させてくれた出来事だった。

ボブ・ディラン本人は、
「歌詞は音楽以上に大事。歌詞がなければ音楽は存在し得ない」と
若い頃から公言していたようだ。反戦や人種差別などへのアプローチに
代表されるように、人間が持つ愚かさや危うさをテーマにした作品は
とりわけメッセージ性に優れている事が良くわかる。
音楽と文学どちらが高尚なのかというのはさておき、
どちらも人間が作り出し、とりわけメッセージ性に優れたものは、
時代を超えて、また新しい世代に受け継がれていく事が共通しており、
そこからまた、新たなカルチャーや強い結びつきを形成していく。

昔の人も現代人も、この辺りは大きく変わらない部分だ。
人は、常に他者との関係性の中で生活しており、
何かを伝えたり、伝えられたりする事で様々な決断をしている。
そのつながりの中で、より良い環境を作りたい、
もっと幸せになりたい、誰かの役に立ちたいと考えて生きている。
今の様に、AIやIoTが台頭しても、いや、すればするほど
より強い結びつきを求めるようになるかもしれない。
技術革新が目覚ましい今の時代で、このタイミングだからこそ、
ボブ・ディランが受賞した意味が大きい様な気もする。

人材紹介エージェントである我々コアという会社が
世の中に提供できる事は「働き方の提案」という事になる。
これは、最新の情報や過去の記憶、あるいは想いなどを総動員させて、
言葉としてお客様に提供している、いわば我々のメッセージだ。

お客様のご満足が一番に来る事は当然として、
数ある選択肢の中から弊社をお使いいただき、
その上で、耳を傾けて頂ける全てのお客様に対して、
流行り廃り、一過性でない意味のあるメッセージを
どのくらい伝えて行けるかが、我々の存在意義だと思う。

言葉の持つ力、そして怖さを改めて認識しながら、
これらかも日々、お客様と真剣に向き合っていく。
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永続的企業価値

2016-10-11
かなり前に往訪させて頂いた老舗企業があった。
当時、業界では隠れた優良企業などと言われ、良い技術も持っていたし、
商品も定番商品だったので、営業も、売りやすいのだろうなと思ったものだ。
その時話した方も、『うちの会社は、人は辞めないのですよ』とおっしゃったので、
『どんなところに魅力が隠されているのですか』と私。
すると『今のところ安定しているからじゃないですかね~』と・・・。

私も当時は若かったのもあり、商品がよく売れて、それなりの給与も貰えるなら最高だよな~
などと羨ましく思ったのを覚えている。

当日、応接に通される際に、執務室を横切ったのだが、
中高年の方が多かった印象のあった私は、
今のうちに人材獲得に動いた方がいいのではと、
ご提案させていただいた。

しかし、「今は順調だから必要ない」という事と、
過去に中途採用をしていないので社内の同意を得るのが困難だから面倒という話だった。

順調ならそれでよいと、私も特にそれ以上はご提案しなかった。

先週、その企業の近くまで行ったので、ちょっと寄ってみようと足を運んでみた。
当時の担当者も変わらずにいらしたので、お話を伺うことにした。

結果、売り上げは当時の半分くらいに落ち込んでいるという話だった。
そして言われた言葉が、
『優秀な管理職がいない』
ということだった。
そして管理職の紹介の依頼を頂くことになった。
『今のこの状態で優秀なマネージャーが来る魅力はありますか』
と問いかけたところ担当者は何も言えなかった。
労働環境や待遇、社内の雰囲気もだいぶ悪くなってしまっていた。

改めて思った。
組織も人間も追い込まれないと動けないのだと。

しかし、追い込まれてからは身動きの取りようもなく、どうにもできない。
企業にも人にも逆転満塁ホームランは滅多にない。

今回のポイントは企業経営が順調な5年前に、
5年先を見据えた人材の獲得をしていたか否かであると思う。
また、この企業の「働き方体質」にも問題があったようだ。
企業価値が問われる部分だ。

我々は働き方の価値をご提案しようと試行錯誤している同志の集まりである。
報酬のためだけに仕事をしているわけではない。
人のキャリアと企業成長という二軸を
考えながら提案していくチームである。

今回の件を上司に報告したらこう言われるだろう。
「君はそれでも企業担当か!」
「なぜ、5年前に真剣に向き合わなかったのだ!」と。

我々のチームはお金になればそれで良いという考えではない。
如何に自分のバリューとコアのバリューを高めながら
企業や求職者様にキャリアのご提案ができるかを追求している。
今後も我々はそこだけはブレることなく、お客様に対して
精一杯対応していく必要がある。

結果、企業と求職者様がそれぞれに
存在意義とあり続ける理由の中で成長して頂ける一助となればと思う。
そのサポートをしていくことで我々や我々の会社のバリューも高まることになり、
永続的企業価値と社会への存在意義に繋がっていくこととなるのだと思う。
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失われた信用を求めて・・・

2016-10-06
T社の売上高の水増し等の不正事件が明らかになったのは昨年のことだった。
監査法人が不正の兆候を知っていながらも見逃していた。
リスクの高い監査は職業的懐疑心を持って慎重に行う必要があるが、
人手不足や担当企業との馴れ合い、担当ディレクターの監査報酬という
売上を失いたくないという気持ちから、不正の「ニオイ」があっても、
なかったことにしていたのだろうと思う。
どうして監査法人がこのような質の低い監査を提供してしまうのか?

あるレポートでは、監査法人の「ギルド的体質」が不正を防止できない
法人内の企業風土を醸成してしまっているという。
ギルドとは、中世ヨーロッパの都市で発達した商工業者の独占的、排他的な
同業者組合である。生活のさまざまな面で相互に助け合うために結成した
身分的な職業団体で同業者の利益を守ることを目的としていた。
監査法人の組織制度は、自分の利益だけ考えて、所属する組織や
その先の顧客の利益を守ることができなかったのである。
これでは、企業がグローバル化し、様々な予期せぬリスクを負う
昨今の高リスクの監査には対応できないことだろう。
T社はもちろん、E監査法人の今後の組織の変容を見てみたい。

T社に限らず、M自動車、J鉄道会社等でも不正体質はなかなか変わっていかない。
日本の村的組織、自己の利益だけ考えて顧客を裏切ることに躊躇しない体質は、
新たな価値を生み出す土壌とは言えない。
信頼を落として落として落ちきって初めて気付くのだろうか。
トップは、自分の代だけ問題なく過ぎていけば良しとするのであろうか。
「自分だけ」の利益を皆が追求する結果失われてしまった信用を
取り戻そうとする正義を掲げる者はいないのか。
T社事件後東京市場の信用は失われ、外国人株主は日本株を大幅に売り越している。
日本株を買い支えている日本企業の大株主は日本銀行だけという笑えない状況だ。

ここで新星のごとく現れたのが東京都の小池知事ではなかろうか。
無党派層からの支持を集め、就任直後から築地市場の不正を暴き、
今後の解決に着手している。その他、五輪会場の予算を
大幅にオーバーした会場建設計画を明らかにし、改善策を出している。
一部の業界だけがおいしい思いをして巨額の資金が注ぎ込まれる五輪。
鶴の一声で東京都の運営がきれいになることを願っている。
それでも根深いであろう日本の男性主義的な様々な圧力に屈することなく、
ジャンヌ・ダルクを演じてほしい。
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