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自主性と自由の間には

2023-11-24
先日、大学に通う娘からパニック状態で電話が入った、
どうやら朝の通学時間帯に最寄り駅で人身事故の為、電車が止まり、
復旧の見込みがたたず、駅が大混雑になっているとのことだった。
どうしても単位を落とせない授業であり、間に合わないと大変なことになると大慌て。
バスは大行列、タクシー乗り場は1台も来ないのに大行列、そしてみんな考える事は同じらしく、
いつもは、所定のステーションに置ききれないほどあるはずの、
赤色のシェアサイクルも一台もなかったそうだ。
娘の、日頃からSNSを駆使した情報収集活動が役に立ったのか、
前日に家の近くに出来た緑色の「アレ」の、ステーションができたのを思い出し、
無事に緑色の「アレ」をゲットして隣駅まで行くことができたと報告がきた。
隣駅から電車は動いていたので、当初より30分ほどの遅れで、
電車に乗ることができ、授業にも間に合ったとの事だった。

緑色のアレとは、最近街を席巻している「LUUP」だ。
2020年頃から、試験的に導入後、試行錯誤の上、安全性を検証し、
免許必要→免許不要、ヘルメット着用は努力義務、運転免許不要など、
今年の7月1日から、大きく道路交通法上の改正がされた。
これは、国が「LUUP」を使用する人たちの、自主性に任せるという判断をしたのだろう。
便利な世の中にする為に作り出した物を使用するのに、決まり事や、
法律で縛り付けてしまうと、皆が使用を控えて利用者が減る事は、本末転倒で、
一人一人が、モラルや社会常識を認知しているという信用のもとで、成り立っているのだと思われる。
しかし、自主性と自由を履き違え、歩道を我が物顔で、高速で乗り回し、
お年寄りを轢き逃げして逮捕されるという事件まで起きているのは事実だ。
このような自主性と自由の違いがわからない人たちが、身勝手な行動を繰り返すことで、
せっかく、利用しやすいように法整備をしたものの、
安全面重視の為また使いづらい法律に改正されてしまう可能性も出てくる。

自分の都合だけで、好き勝手にすることを「自主性だ」と、主張する一部の人の為に、
新たなルールや規制を設けなければならなくなる。
企業においても、「自主性を尊重する」前提で、テレワークやリモートワークを
取り入れたところが多くみられたが、管理監督されない「自主性」の名の下で、
「自ら考え自ら動く人」と「自由気ままに動く人」に差が生まれ、
それが、コロナ禍を終えた今、出社した働き方を見比べると一目瞭然だそうだ。
職場から自由契約とならないように、自主性と、自由の違いをきちんと理解して
業務に取り組んでもらいたいと感じる。

冒頭の娘の、LUUPを探し出して隣駅までかかった時間は約30分、
普通に隣駅まで歩いた場合は20分。この事実を「娘には、黙っておいてあげよう。」と心に決めた私だった。
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プロ意識が向かう先

2023-11-10
先日、簡単な手術のため大学病院に入院し、
4日間の病院生活を過ごしてきた。

色々と非日常の体験があったのだが、
特に若い看護師の皆さんの「プロ意識」が印象に残った。

大学病院で短期入院の患者が多い病室だったこともあるが、
とにかく勤務中はずっと忙しそうに動き回っている。
時間ごとに担当病室の全ての患者の状態を確認しつつ
システムに入力、その間も患者から色々な訴えがあり
即時対応が必要か、先生の許可が必要かなどを判断。
一つの作業が終了するとすぐに次の作業の準備を始めるわけだが、
そんな中でも、一人一人の患者への配慮や気遣いを疎かにはしない。

注射針を刺す、あるいは他愛のないコミュニケーションをとる中にも
こちらが聞き取りやすい言葉を選んだり、タイミングを考えてくれており、
それだけでも不安感やストレスが解消されるのを実感した。

あれだけ忙しいと、その辺りはドライになってもおかしくないが、
どんなにしんどそうでも配慮や心配りが崩れないのに強く感心した。

看護師の皆さんにとってのホスピタリティというのは
後付けのお飾りの要素ではなく、そもそもこの仕事を志す時点で
その気持ちが無いならやっていない「太い幹」の部分であり、
その幹に技術、知識という枝葉がついている、そんな印象を持った。

誰しも「プロでありたい、上達したい」という思いを持つと同時に、
「認められたい、心地よく仕事がしたい」という欲求を持っている。
どちらも仕事をする上で不可欠なエネルギーだと思うが、
気が付くと後者のエゴの要素が大きくなってしまい、
いつの間にか自分のやりたい事、得意な事ばかりに終始し、
本質からズレたアクションになることも多いのではないか。
マニュアルを覚えただけの丁寧な接客だったり、
流行に乗じた企業のサステナビリティ等もこれに入るのかもしれない。

プロとは何かを考える時に、私の好きなフレーズの一つとして
「自分とは交渉をしない」というのがある。
これは、コーチングの世界では有名な言葉らしいが
誰しも自分が可愛くて甘やかしたくなる性質を持っているがゆえ、
最大の敵は己であり、それを自分自身でシビアに絶つべき、
という思考法、習慣づけの言葉である。
どんな世界でも「プロだな」と思わせる人たちはすべからく、
この感覚を持って仕事と自分に向き合っている様に感じる。

会社のメンバーには迷惑をかけてしまったが、
看護師の皆さんの仕事っぷりをみて、慣れや驕りから生じる
本質からズレた行為をしていないか?自分自身の仕事を振り返る
機会にする事ができた。
しかし、さすがプロだからこそ、大した病気じゃない私に対し
看護師さんはほとんど無関心であった。
「奉仕の精神は使うべき正しい場所で使われるべき」と理解しつつも、
変な寂しさを感じてしまったのは、私のエゴなのだろう。
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思考を短くして時間を創り出す習慣

2023-10-27
働き方改革関連法の施行によって、日本のサラリーマンは以前よりも
タスクに追われた日常を送ることになったのではないだろうか。
目指すべきカタチとして「残業時間の削減」や「業務の効率化」が
会社から推奨されるものの、働く個人の実体は混沌としている。
転職支援をしていても、日々変化していく状況に対応しきれず
困惑している人がとても多くなっている様に感じるからだ。

一般的に馴染みのある効率を高めるための手法として
「PDCAサイクル」が古くから活用されてきた。
しかし、業務時間の圧縮が求められたり、業務が多様化する中で、
この手法だけでは対応できないことが認識されつつあり、
結果としてアップデートされた新たな手法へのシフトが始まっている。

数多くある手法の中で、気になったものがあった。

それは、「OODAサイクル」と呼ばれるものだ。
ご存知の方も多いかもしれないが、元々はアメリカ空軍の戦闘機による
勝率を高めるためのフレームワークであり、
効果と汎用性の高さから既に多くの企業や団体で採用されている。
そもそも「PDCAサイクル」とは品質管理や生産管理用のフレームワークであり、
状況や前提が変わらない中での最適解を見つけるのに適した手法であるため、
変化の激しい環境下では成果を上げにくいとされる。
対して、OODAは環境変化の局面にうってつけの手法であり、
副次的要素として自ら考えて行動する人を増やす事もできる(自走組織)。

OODAとは
・Observe(観察)
・Orient(状況判断、方向づけ)
・Decide(意思決定)
・Act(行動)
である。

仮に、環境変化の激しい中でPDCAサイクルを用いると、
計画を立てるにあたり膨大な時間を要する事になる。
その上、全体像が見えていないことで、
修正が必要な際に更に時間が掛かるという状況に陥る可能性が高い。
一方で「OODAサイクル」は緻密な計画を立てるというよりも
目的を明確にして状況を見て素早く判断し、
勝機を逃さないことを提唱している。

仕事を効率的に行うことは、
大前提として時間を「資産」と考えると良い。
一般的には資産と言えば「お金」を思い浮かべる人が多いかもしれない。
しかし、時間はお金以上に価値のある資産だと考えられる。
一日の24時間は、誰にでも平等に与えられるが、
お金のように蓄えることはできない。
その日に使わなければ、次の日に持ち越す事も出来ない。
きちんと目的を持って活用すれば、大きな価値を生み出すことができる。
しかし、ぼんやりと過ごしてしまうと、あっという間に時間は過ぎてしまう。

限られた時間をどう活用するか、それが未来を形作る鍵となる。
効率的に働くことで得られる「自分の時間」は、自身の成長、家族との時間、
趣味の時間として使うことができる。
価値ある時間を得られるかどうかは、
日々の仕事の取り組み方に工夫を凝らすことに他ならない。

時代が変わり、求められる働き方が変わっていく中でも、
私たち一人一人の持ち時間が変わることはない。
「時間の使い方」を再考し、賢く、効率的に働くことがこれからの
ビジネスの世界での成功へのカギとなるであろう。
そして、その成功は、仕事だけではなく、人生自体を豊かなものにするだろう。
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四季

2023-10-13
春夏秋冬、日本には4つの季節がある
世界でもはっきりとした四季があるのは、
日本、カナダ、フランスだけだともいわれています。

春は、爽やかな風と緑のいい匂い、太陽の日差しが暖かく、
新しい自分のスタートを切る為の季節。
夏は、ギラギラと照らす太陽と、入道雲、そうめんを食べ、
蚊取り線香の匂いを感じながら、うちわで涼を取る季節
秋は、春とは違う空気感、さらっと乾燥した風と色づいた葉が街の景観を変え、
肌寒さを心地よく感じ、扇風機をしまう季節。
冬は、低くどんよりした雲と、冷たい空気、ほてった体と心そして、
アスファルトをクールダウンさせてくれる。
人々が着こなしを楽しみ枯葉色をバックに鮮やかな色が踊りだす季節

そんな中でも私は秋が好きなのですが、
最近その期間(季間)が短く感じて仕方がありません。
そんな素晴らしい四季が日本でも崩れようとしています。
桜の開花は、この数十年間で1週間近く早まり、暖冬が続き、
桜が勘違いし真冬に開花してしまったり、
GWは、真夏の様な暑さとなり、熱中症で倒れる人が続出。
お彼岸すぎても、真夏日が続き、10月の半ばにまだ半袖で
出歩くことが出来るのですから。

冬場にはコートを着る期間が短くなったりと、
少しずつ少しずつ気がつかないうちに、
年間を通して温かい国へと、温かい世界へと変化してきている。

数年後には、朝、聞こえてくるニュースキャスターの
「今日の最高気温は50度、外出時は断熱服を着てください」
という声を聞きながら、命がけで外出する。
そんな現実も遠くないのかもしれません。

今の、私たちがいつまでも四季を身体で感じる事が出来るために何をすべきか
一人一人が考えて、行動に移していかなければいけないとまだ、色づくことを
知らない公園を半袖で歩きながら考える10月中旬のひとときでした。
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AIの世界になっても

2023-09-29
AIの世界。

先日、米系ITアドバイザリー企業であるガートナージャパン株式会社が公表した、
「今後5年以内に営業業務の60%が生成AI技術によって置き換えられる」と
予測した記事を目にした。

ガートナーの予測では、これまでは売り手が自ら様々なデータソースを分析・検証して、
戦術・戦略を考えていた。しかし今後は、生成AIにより、社内外のデータソースを組み合わせ、
複雑なプロセスを自動化することができるようになるため、営業組織のリーダーは、
より深いインサイトに基づく新しい意思決定が可能になるということだった。
つまり、極端に言ってしまうと、様々な分析によるターゲットリストの作成や
アプローチのタイミング、各顧客の課題抽出、その課題解決のための
ソリューション提案内容も全てAIが考えてくれるようになる日も近いということだ。

しかし、AIに指示されたことを指示通り実行するだけ、
言い換えれば、「理屈だけ」で売れるものなのだろうか?
営業として非常に重要な「伝える力」の価値をどう位置付けるのか。

当然、“顎が立つ”だけの営業が通用しないというのは、もはや定説。
「誰に」、「何を」、「どのように」伝えるか、
それぞれに関わる多くの情報や背景全てを踏まえて、
伝え方を考えなければその言葉は誰にも届かないし、響かない。
この思考のプロセスこそが、仕事の質に繋がる部分ではないだろうか。

どんなにAIがお膳立てしてくれようと、
AIが何故その方法を提示したかの背景を理解できないと、
ただ単に「指示されたことをこなすだけの人」に成り下がる。

AIに使われるのか、使いこなすのか。

処し方の解を求める中で、思考力がある人とない人の差が明確となり、
さらに「できる人」と「できない人」の二極化は進むだろう。
AIの台頭に限らず、思考しない人たちの掃討とも呼べる現象は、
組織における人員削減やキャリアの停滞という形で既に始まってしまっている。

遅すぎることはない。
今からでも、自らの頭で考え、行動することに意識を置くことだ。
会社や上司から言われたからその仕事をするのではなく、
その仕事の目的は何か、どのような背景があるのか。
そのために本来すべきことは何か、そしてどう動くべきか。

思考する集団が享受する発展的なAIの世界は、
きっと、便利で豊かな世界であると確信している。
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